君は、彼女の瞬きの音を聴いたことが有るか?

以下、あくまでも、私の知人の話として、聞いて(読んで)下さい。

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私達の付き合いは、普通の恋人というよりは、むしろ、時には、宮本武蔵と佐々木小次郎の真剣勝負みたいに、

お互いの刀で、切り付け合うみたいな会話を、行き交わせることも多かった。・・・  あの頃、私のアパートには何

も無かった。電話、テレビ、机、掃除機、冷蔵庫、エアコン等々、そして蛍光灯すら、本当に何もかも無かった。・・・

有った物を言った方が早いか。・・・それは3つ。布団とハンガーと本の詰まった段ボール箱だけ。・・・  彼女と寝た

のは一度きりだけど、私は、初めてだった。それは2月、とてつもなく寒い夕方。全てがぎこちなく、驚くことばかりで、

訳も分からず、ただ無我夢中で、とにかく、何か、必死だった。・・・  八方、手を施し、尽くしたものの、結局、焦りの

中、自分のハードな部分がソフトに変化し果て、初体験は、失敗に終わった。・・・(彼女は、バージンでは無いと言っ

ていたけれど、今にして思えば、それ同然の女性と、童貞の奮戦だった訳だから。)  しかし、その時は、それでも良

かった。いや、それで十分だった。彼女が、体を許してくれたことだけで、嬉しかったんだ。・・・彼女は、「私に魅力が

無くてごめんね」と、謝った。・・  私たちは、薄暗闇の中、長い間、眼を閉じて、抱き合っていた。・・・その時、聴こえた

んだ、微かに。・・・パチ、パチ、パチパチ、パチ。・・・初め、何の音か分からなかったけど、やがて、その音が、彼女の、

まばたきとシンクロしていることに気付いた。・・・その瞬間、初めて、彼女のことを、切なくも、とてもいとおしく思った。・・・

部屋の中は、どんどん暗くなって行くけど、彼女の瞳に、私の顔が映っているのが分かった。・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まばたきの音、どうやら、擬態語ではなく、本当にするそうです。・・・みなさん! 実際に聴いたこと、有りますか?

とりわけ、最愛の人の!

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